手術当日から翌日・・・

前日からあまり眠れず朝を迎えたわけですが、状況は着々と進んでいきます。 病室から車イスに乗せられて移動するだけで、いつもとは違う視線と感覚が否応もなくこれから特別な場所に向かうんだなと言うのを実感させます。

手術室前の待合室で家族との挨拶を済ませ、もしかしたらこれが意識がある最後の景色かもしれないなと思いつつストレッチャーに移動。

さまざまな機械に囲まれた状態で軽く背中に麻酔をしたら次の瞬間には意識を失い、次に目を開けたのはすべて終わった時でした。 麻酔してから目が覚めるまで、体感では5分ほどしかたっていないような気がしたのですが、あとから聞けば13時間後の21時だったとの事です。

もちろん手術室に入ってきたときとは違いさまざまな管が体から伝わっていました。 気道チューブは抜かれていましたが、剄部ドレーン胸部ドレーン下脚圧迫帯尿道カテーテル他その他もろもろ・・・。 朦朧とした意識の中、以外と変わってないなと思ったのを覚えています。 あとから考えたら大間違いだったんですが。

家族と一目会った後、ICUへと移送されることに、今日はそこで一晩過ごすことになります。 ICUの中には看護師さんと隣室の患者だけ、今が何時なのかもわかりません。 背中には硬膜外麻酔が持続的に流れてきているのですが、それを打ち破るような痛みがだんだん襲ってきます。

まず傷口よりも肩や背中の筋肉痛のようなものが気になって寝れたものではありません。 長時間同じ体勢で手術を受けたためのものだと思われます。 携帯もテレビも話し相手もない中、ひたすら痛みを耐えつつ時間がたつのを待つのですが、それを邪魔するように隣室の患者がひたすら痛い痛いと叫び続けます。

それこそ1秒も休むことなく痛い痛いの絶叫です。 肺の手術を受けた患者のようでタンが止まらず咳と吸引を繰り返す様な音が聞こえてきます。 こちらにもありますが吸引といっても弱い掃除機のような陰圧のものに吸い刺しがついているだけのものです。 これで私は口内のうがいした水を吸いとったりする訳ですが、これでタンを取ろうとは相当深く差し込むんだろうなと・・・

わたしもそれなりに痛いのですが、隣が地獄のような状況ではまだましなのかもしれないと変な誤解をしてしまいそうでした。 気管支を手術したあとや腹部切開したあとはなかなかタンが出にくく咳をする度に激痛が起こります。 タバコを長いこと吸っていた人なんかはこういった状況に陥りやすいとの事です。 嗜好品とはいえICUに入ったときに地獄のような目にあうことのリスクまで含めて喫煙は考えたいものですね その後も隣の騒ぎは止むことなく咳き込む音と絶叫が一晩中繰り返されるのでした・・・